性行為伴うAV禁止法の成立・公布 - 今後の対応

性行為と殺人事件を同一視し、性行為そのもの回避

AVは性行為を伴うものであり、モザイクをつけない、つまり無修正の場合、わいせつ物頒布等罪に問われます。 しかし、性行為それ自体は、双方の同意があれば、何ら法律違反ではありません。 また、AVは出演者同士で金銭のやり取りを行うことはなく、売春防止法に問われません。 一方で、殺人は立派な犯罪であり、尊い命が奪われる行為であり、どういった状況であれ許されることはありません。 このように全く違うものであり、演技という文脈を隠れ蓑に同一視していることは、性行為そのものを忌避しているに過ぎません。

AV出演被害防止・救済法案の目的から逸脱している

AV出演被害は表現や作品内容ではなく、契約の問題である。 本法案のきっかけは、2022年4月より成人年齢が18歳に引き下げられたことである。 未成年であれば、親の同意を得ずに結んだ契約を取り消せる権利が認められている。 これが、18歳が成人になることにより、18歳、19歳でAV出演の契約を結んだ場合、取り消すことができなくなる。 それにより、高校生AVが発売されるリスクが高いことを理由に、AV出演は1年間は無条件に解除できる法案が国会に提出された。 このAV新法自体が、稚拙で偏った法律であると言える。 理由としては高校生がAV被害にあうより、学生ローンや高額商品の購入などの被害のほうが本来多いはずだからである。 さらに、AV出演強要などは年齢に関わらず守られなければならない。（競争率が高い現状、出演強要があるとは思えないが。） このような契約の問題から救済するはずが表現内容自体に法解釈を拡大しようとしていることである。

AV出演者の差別につながる

性行為の忌避、それを法律とすることは、性風俗店やAV出演者への差別に繋がります。 日本国憲法では、職業選択の自由があり、報酬を得て仕事に従事しています。 そういった職業を否定することは差別につながる、新法はその差別を推進することになりかねません。

アダルトビデオ業界の消滅

2016年の調査ですが、矢野経済研究所によると国内で500億円の市場規模があります。 当然、AVメーカーから、AVプロダクション、販売店、ECサイトに渡る幅広い市場となっています。 これらの企業に働いている人の仕事を奪うことになります。 オタク市場調査（矢野経済研究所）アーカイブ

イメージビデオの過激化、違法AV、同人AVによる性被害の拡大

AVが禁止になった場合、500億円の行き場はどこになるのでしょうか。 3つに流れると思われます。

イメージビデオの過激化

イメージビデオは性行為はなく、バストトップもありません。 そのため、低年齢の出演者の作品もあります。 また、AVがなくなったことで過激化（露出ギリギリの性器を刺激するなど）が考えられます。 そういった行為が未成年、かつ低年齢層であることはAV出演以上の被害が続出するでしょう。　 ※低年齢なので、親の言いなりで出演しているケースが考えられる。 また、性知識がなく、嫌だと思っても受け入れてしまう

違法AVや同人AV

現在でもFC2や海外動画共有サイトを使って、同人AVが作成されています。 表向きは、同意の上撮影されていると思われます。 AVがなくなり、同人AVが増えることで、違法化することも考えられます。 例えば、盗撮などの犯罪行為や交際相手を装った出演強要、リベンジポルノなど、 製造が多くなれば、こうした違法AVも増える可能性が高いです